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 大和と彼は別人と告げるその時だけ、溝口の目に強い光が見えた気がした。溝口は真剣に大和の未来を慮っている。その上で私との会話に挑んでいる。  それを察するのに十分な問答だった。 「大和が星悠翔さんの熱心なファンに攻撃されているのはご存知ですか。あなたと大和の関係をどこぞの誰かがネットに書き込んだようで、大和はさらに星悠翔さんに比べられています」 『別に悠翔でも大和でもいい。ひかりがそうだと思いたい方でいい』  まっすぐに私を見つめる溝口の声と共に、過去の大和の姿が浮かんでは消えていく。 「あなたの不調に引き摺られて仕事を入れない時期を作ったり、今回のようにストレスを溜めて倒れたりしていることも、あなたは知らないのではないですか」  私がぼんやりと生きている間も世界は目まぐるしく動いて、大和は私との時間を作るために酷く無理をしている。  知らなかったはずがないのに、改めて目の前に突きつけられると崖から突き落とされるような痛みでうずくまってしまいそうだった。  私にそのような権利などどこにもない。  何一つ言葉にできず、ただ不格好なサンダルを見つめ、深いため息が耳に触れた。 「星晶さん、折り合ってご相談があります。お察しの通りですが、星大和は今一つでも多くの仕事を受けなければならない大事な時期です。どうかその道を潰さないでいただけませんか」
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