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自分が心底嫌になる。
ふらふらと立ち上がって、ベランダの手すりに体を預ける。身を乗り出して下を見ると、地面の遠さに目眩がした。
私が負担になっているだなんて、大和は一生言わない。疲れるから別れたいだなんて口が裂けても、たとえ拷問をされても言わないだろう。
そういう眩しいくらいにかっこいい人だから、ダメだとわかっていたのに好きになった。
恋だとも愛だとも認めたくなくて、形になる心を何度も粉々に潰そうとした。でも無理だった。
あの日、青ざめた大和が私をこのベランダで抱きしめた日、私はこの手すりを超えたら、星が掴めないだろうかと思って、それが気になってこの手すりをよじ登ろうとしていた。
今は明確な意思を持ってここから飛び降りるために、私は腕に力を込めている。
大切な人を壊す存在なら、もう何もいらない。消えてしまえばいいと思う。
「っ、う……っ、うう」
けれど結局、私はもう一度ここを飛び越えようとは思えなかった。
大和が大切に直してくれた心は、正常に私の体を怯えさせた。死への恐怖が力を緩ませて、泣きながらその場に蹲る。
『みんながひかりを生かしてるんだよ』
大和の言葉が胸に響いて、涙が止まってくれない。大切なことを、愛おしい秘密を、彼はいつも惜しげもなく私に教えてくれた。
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