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 上機嫌に笑う大和のせいで、悪態をつくのも忘れる。何も言えずに胸板を叩くと、ますます楽しそうに口笛を吹かれて、もうお手上げだ。  大和に構っていたらどれだけ時間があっても料理が終わらない。終わったあとに大和と何をすることになるのかを忘れているわけでもないけれど、それを考えると頭がパンクしてしまいそうで、ひとまず料理と向き合い直した。  何も言わずに菜箸を持ち直すと、大和は後ろから私の腰に手を回してエプロンの紐を結び直した。その行動をじろりと睨み上げると、彼は両手をあげて害意がないことを示してくる。 「もう邪魔しないって」 「……大和くんが邪魔を始めてから静かになるまで三十分が経過しました」 「校長の先生の真似かよ」  細かなネタが伝わったらしいことに口元が緩み、慌てて視線をキッチンテーブルに戻す。 「何笑ってんの」 「べつにい?」  邪魔をしないと言いつつ顔を覗き込んでくる大和を無視して衣をつけていく。しばらく大和の声に言葉を返しながら料理を続けていると、彼も私が真剣に料理を再開したことを悟ったのか、油を取り出して火を入れ始めた。  本当に私の代わりに料理をするつもりらしい。 「大和こそ火傷しないかなあ」 「俺は別にいいよ。ひかりがするよりマシだろ」 「いやいや、大和は怪我しちゃダメでしょ」
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