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 大和はあまり寝相がよくなくて、私が抜け出した後はいつも体の位置がかなり動いている。ベッドの右側面にまで頭が移動しているのを見て小さく笑いながらベッドわきに腰かけ、その頬を撫でて囁いた。 「やまと」  彼は下半身だけ薄手のパジャマを履いていて、上半身は何も身に纏っていない。頭には大きな寝癖がついていた。  無防備な姿をたっぷりと網膜に焼き付けて、もう一度口を開いた。 「行ってくるね」  起こすつもりのない声量に、大和はきっとまた今夜怒るんだろう。そのときにはきっと顔を合わせるのも恥ずかしくなくなっているはずだ。思いながら彼の頬から手を離し、立ち上がろうと脚に力を入れる。 「わ、」  その瞬間、腕を引かれて後ろに倒れ込んだ。 「出るなら起こせって言ったろ」  起き抜けの低い声が鼓膜を震えさせる。吃驚している間にも彼の手が私の腰を掴んで、肩口に額を擦られた。 「大和?」 「何時」 「……六時半」 「はあ?」 「はあ、と言われましても」 「出んの早いなら先言え」  後ろから強く抱きしめながら悪態をつかれる。まだ覚醒しきっていない頭で喋っているらしく、彼の口調は珍しく舌足らずだ。 「はは、ごめん。もっと寝てていいよ」 「ああ? むり。起きるし」 「眠そうだよ」 「ひかり、何時間寝た?」
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