1116人が本棚に入れています
本棚に追加
かなりセンシティブな内容なのに、相原が情報を連携してくれなかったことに頭を抱えたい。
内心焦る私のことなど知らず、彼の苦悩が語り続けられる。
「でもなんか、それでも全然引いてくれなくて、どんな人? とかすげえ細かく聞いてくるから」
「うん」
「……具体的に話して」
「うん?」
「そのとき近くにいてくれた人を、彼女に見立てて話した、んだけど」
雲行きが怪しい。信号が赤になったタイミングで恐る恐る後ろを見ると、岡田漣は両手を合わせて頭を下げていた。
「いやな予感がするのは気のせい?」
「すみません、ひかりさんのこと彼女の設定にしてるんで、なんかこう、少しでいいからそれっぽく振る舞って欲しい」
「ええー……!」
私が近くにいた時ということはあの地方巡業のタイミングだ。少し思い悩んでいることがあるとは思っていたが、まさか恋愛関係についての悩みとは思ってもいない。まさに青天の霹靂だ。
しかし爽やかな犬系の顔に泣きつかれると、断る気が起きなくなってしまうから困りものだ。
最初のコメントを投稿しよう!