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「普通に、ずっと近くにいてくれるだけでいいから、本当、マジで」 「この話、相原マネにちゃんと報告してる?」 「ちゃんとはしてない、だって俺がひかりさんのことガチで狙ってると思われてもマズいし」 「思わないよお、そんなこと」  そんなことより、タレントが人間関係で共演NGを出すことのほうが問題だ。  どう様子を見るべきか思案していると、バックミラーから痛いほどに視線を感じる。私が引き受けてくれるか心配でたまらないらしい。子犬のような目に笑ってしまった。 「もう〜。わかった! どうにかするから心配しなくて大丈夫だよ」 「ひかりさん〜! マジで助かる!」 「でもあとで相原さんに報告するからね」 「うわ、うーん、いいけど。絶対怒られる」  心なしか耳が垂れ下がっているように見えなくもない。口元が緩みそうになるのを耐えながらハンドルを操作して、声を上げた。 「なんで?」 「オッサンに言われてんの。ひかりさんに惚れんなよって。絶対迷惑かけるなとか、変な目で見るなとか、すげえ言われた」 「ええ? なにそれ。こんなおばさんに何の配慮?」 「ひかりさん可愛いからじゃない? 本当はタレントとして雇うつもりだったのにって聞いたし。それに前にひかりさんのことすげえ好きになっちゃったやつがいて、ひかりさんがしばらく仕事これなくなったって噂も聞いたんだけど」  あくまでも軽く問いかけられた言葉に、息が止まりかけた。
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