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 私が起こさなかったことに機嫌を損ねて、夜更かしの原因になった自分を反省して、私を抱きしめていた人はここにはいない。 「はい! 大和さんもお元気そうでよかったです。また飯行かせてください」 「俺と? 楽しかねえだろ」 「なんで!? 大和さんとしか行きたくないです」 「はは、相変わらず犬みてえ」  砕けた会話が繰り広げられる。明るい雰囲気のこの場所で、居心地の悪さに眉が寄ってしまいそうだ。  大和の後ろに控える溝口は、私が何を言い出すのか監視しているように見えた。  気まずすぎて逃げ出したいのに、大和との会話で気分が上がっているらしい岡田が私の袖を掴んで離さない。  溝口の鋭い眼差しが、岡田に掴まれる私の手を見下ろした。その瞬間、記憶の奥底に捨てた過去の記憶が過ぎって瞼の裏に映る。 『溝口さんのおっしゃる通りだと思います。彼の道の邪魔ばかりをしてしまって、本当にお恥ずかしいです。ごめんなさい、教えてくださってありがとうございます。おかげで決心がつきました』 『星さん、待ってください。決心というのはいったい』 『……もう二度と邪魔をしないで済むように準備をして、きっぱり離れようと思うんです』  その言葉を告げたとき、彼は言葉を失っていた。
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