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特に飲みたくもない缶コーヒーを二つ押すと、音を立てて吐き出される。
それを拾い上げるためにしゃがむのさえも面倒で、立ち尽くしていると、すぐ横に人影が伸びた。
「あ……」
まともな声をあげる隙もなく、その人は長い足を丁寧に折って、私が選んだコーヒー二つを取り出した。
「これで全部ですか?」
「え? あ、そうです。ありがとうございます」
彼――金城謙吾は、この映画に出演する主演三人のうちの一人だ。
星大和と岡田漣、そして金城謙吾。
金城は見た目こそアンニュイでセクシー路線を思わせる男性だが、昨日のトーク番組を見た感じでは、はにかんだ笑顔が可愛らしい美丈夫だ。
大和と同じくらい背が高くて、見上げなければ顔を見ることができない。センターで分けられた少し長めの前髪が頬をかすめているのをぼんやりと見つめてしまった。途轍もなく雰囲気のある人だ。
それこそがこの業界で生き残る重要な資質であるし、彼が今後ますます売れていくだろうことを感じる。
その人から缶コーヒーを手渡されて、思わず何も考えずに受け取った。
KRプロダクションは毎年こういう一点の曇りもないダイヤモンドを磨き上げて世に送り出してくる。舌を巻くような手腕に圧倒されてしまった。
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