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思いもよらぬ言葉に目を見張ってしまった。私の反応でますます彼の顔が赤くなる。もはや私に告白をしているみたいだ。
「それは本人にもう言ったんですか?」
「いえ、恥ずかしくてさすがにそこまでは」
「ええ、じゃあ、私が先に聞いてしまったんですか」
「それは……、そうなります」
不器用ながらもまっすぐな人だ。わかりやすく焦る表情がおかしい。隠しきれずに声を上げて笑うと、その時初めて彼の顔に安堵の色が浮かんだ気がした。
「じゃあ私と金城さんの秘密ですね」
「そうしていただけると、たすかります」
「そんなに好きなんですか」
きっと事務所が了承しなくても、きっとこの人は水野愛子を諦めることができずに次の手に打って出ただろう。
それが容易に察せられるような笑みにあてられて、同じように笑った。
「はい。好きです。すごく。思うだけで何でもできるとか、ちょっとばかばかしいことを考えるくらい」
「事務所にはオッケーをもらえたんですか?」
「おれが今後も契約継続して頑張るなら応援してくれるそうです」
予想通り、KRは基本的にタレントの自由意志を尊重しているらしい。
「よかった」
「まあ、うちは星さんの前例もあるので。結婚前提の本気ならってことで、意外とあっさり認めてもらえました」
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