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「え、それは借りたいけど! じゃなくて、男にそういうこと言ったらダメだよ!」 「ええ? なんかちょっとよこしまだった?」 「よこしま! ひかりさんの言い方、いつもちょっとウケるんだけど。……いやでもマジに、よこしまじゃなくても、めちゃくちゃ久しぶりに頭撫でられて普通に照れました」  照れているようには見えなかったが、今私に素直に申告する彼の頬が赤いのを見るとあながち嘘でもなさそうだ。  弟のようなキャラとしてたくさん人に撫でられていそうなのに意外だ。 「いやだった? ごめんね。なんだか可愛くて」 「いや、むしろいつでもどうぞって感じなんだけど、大和さんの前では恥ずかしい」 「あ、はは。そうだよね。憧れの人だもんね」  名前が出るたびにいちいち動揺するのをやめたい。まったく知らないふりをしたい。それなのに、私の表情は間違いなく引き攣っていた。 「めっちゃガン見されてた。幻滅されてそうでマジでやだ。でもひかりさんに撫でられて元気出たのもマジ。複雑だー」  見られていたのか、と一瞬考えてすぐに掻き消した。努めて笑みを浮かべている。   「元気でたらお腹すいたよね?」 「ふは、はい。これ食っていいの? うまそう」
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