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 節くれ立った手を剥がそうと力を込めると、あやすようにその手を握りしめられて、もう一度抗議するために顔を上げる。 「連絡、見てねえの」  その瞬間、私にしか聞こえないような声で囁かれた言葉に、指先の動きが停止した。 「れ、んらく? ごめん、忙しくて」  焦って、舌がもつれそうになりながら答える。  連絡なら見ていた。知っていて無視をした。  それを素直に答えることはできなくて目を逸らすと、勝手にジャケットのポケットに手を入れられて携帯を取り出された。 「ちょ、なになに、怖い」 「朝のも見てねえじゃん、ちゃんと見て」 「ごめん、たくさん送ってくれてたの?」 「べつに」  今までに見たことがないほど不機嫌だ。大和のこういう表情は珍しくて、勝手におろおろしてしまう。なんと答えればいいかわからず差し出された携帯を受け取って、不意に見えた画面にトドメを刺された。  不在着信とメッセージが並んでいる。メッセージの中には『いつでもいいから少し話したい』という簡潔な文章が並んでいた。 「ご、めん。全然気づかなくて。お話? どうしたの?」 「若手持つなって言ったじゃん」
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