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 大和は私に撫でられると、一瞬動きを止めて深く息を吐き出した。 「ため息深いなあ」 「……ひかり。こういうの、マジで誰にでもやんのやめて」 「ええ……?」 「岡田が世話になってますって何だよ」 「いやいや、え? いや、普通の挨拶」 「金城調べてたの、これのため?」 「うん? あ、そう、ではないよ。この現場来ることになったの、朝決まったし」 「じゃあなに? 漣もなに?」 「なにって……、ええ? 大和、ぜんぜん気にしてなかった、よね?」  怒涛の質問に目を回しつつ、今日これまでの仕事を思い返す。けれど何度思い直しても、大和は私の行動など気にも留めていなかったはずだった。私の行動など見てもいなかっただろう。そう言いたいのに、縋るように抱き込まれて耳に言葉を吹き込まれると、何一つ言葉を思い出せなくなった。 「すげえ気にする。めちゃくちゃ嫌だ」 「そんなふうに見えなかった、よ」 「俺に顔に出されて困るの、ひかりのほうだろ」 「そ、れは」 「でもマジで、普通にめちゃくちゃ妬くんだわ」  昨日から、目が回って仕方がない。呆然とする私とは反対に、大和は絶対に私を離さないとでも言うように私を強く抱きしめている。
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