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この温かい腕の中が、いつまでも私の帰る場所であって欲しかった。
願いは叶わない。何度願っても星の光が掴めないことと同じだ。
「やまと」
「うん?」
「満足した?」
これ以上は離れがたくなりそうで、ゆっくりと顔を上げて囁いた。至近距離に見える大和の瞳はあまりにも不満そうで、仕方なく手を握ると、彼はすぐに私の手を握り返しながら言葉を吹き込んできた。
「じゃあ、代わりに帰ったらめっちゃ構って」
いつもはこんなことを言ったりしないのに。よっぽど嫌だったらしい。
毎日同じ家で顔を合わせていても、毎日新鮮に彼の魅力に惹きつけられている。
愛おしさは底を知らない。どこまでも深く心を許してしまうから愛なのだと思う。
「今日は甘えんぼうさんだね」
「……ひかりにしかやってない」
「知ってるよ」
大和は大人で、理知的ともクールとも、ミステリアスとも呼ばれるような落ち着いた男性だ。
でもそれは彼が大切に思う人の前では適応されない。
「嫉妬はする。かなり。晶が嫌だろうから、顔には出さないようにしてる」
「うん」
「出さないだけで、めちゃくちゃ妬いてるから、その分構って」
私が愛おしい相手なのだということを隠しもしない。彼の特別な位置に置いてくれているということが疑いようもないほどまっすぐな視線だ。その視線の熱さで胸の鼓動がずっとうるさい。
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