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 決して、大丈夫だとも問題ないとも言えなかった。  私たちはその場所へは行かない。これから先、私と大和が出会うことは二度とない。未来永劫、こうして私たちが顔を合わせて笑い合うことはなくなる。  それを知っているから、私はここで明言することを避けた。  ここまでにたくさんの計画があった。全ては順調に進んでいて、終わりは目前だ。  なるべく大和を傷つけない終わりにできるよう、たくさん考えて決めた。けれどそれは全てが机上の空論でしかない。 「じゃあ、戻るから絶対顔出さないでね」 「うん」 「頑張って」 「ひかりも」  私は大和が好きで、おそらく彼も、同じように私を大切に思ってくれている。私は感情が透けて見えないように懸命に取り繕っていたけれど、大和のこの瞳を見れば、それが失敗だったことなんて明白だ。 「やっぱ頑張りすぎないで」 「なんだそれ」 「大和はそのままで、もうじゅうぶんすごいから」  別れの本当の理由なんて、言いたくない。  大和がこれからも輝き続けていられるように。あなたの人生に、私なんて必要ないと思うよ。もう二度と星くんと大和を、誰にも比較させないために。  どの理由でもきっと大和は納得できない。だから、円満な終わりなんて諦めてしまった。  私たちはもう二度と出会わない。
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