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「……出張のこと、事前に言ってなかった、のは、ごめん」
「ん」
「でもソファで寝てたのは……、大和のこと、待ってたかったから、で。……ちゃんと、無理しないで、ここに帰ってきた、つもり」
無理なんてしていないと言ったらそれは嘘になる。でも私はここまで、途方もない大和嘘の上でのうのうと生息してきた。
だから、大和を守るための嘘なら、どうか、許して欲しい。
「……それで許されると思ってんのかよ。クソ、なんだよそれ。それで許されんのがムカつくわ」
「許された?」
「許した」
これも即答だった。
大和はミステリアスな雰囲気を纏った俳優だとも私生活が謎の役者だとも言われている。
すべては私との生活を世間から隠すためのことだとわかっているが、これほどまでに愛嬌のある男性だということを、ほとんどの人が知らないのはもったいないだろう。
「大和は本当にかっこいいね」
「それではぐらかされると思ってるだろ」
「思ってないよぉ」
「ぜんぜんはぐらかされるけど」
「あはは、可愛いとこもある。こりゃ売れるわけだ」
大和は努力の人だ。才能もあるだろうし生まれ持ったルックスも、間違いなく一級品だろう。しかしながら、大和素晴らしさはそういうものよりも、彼がどのようなときにも最善の努力を尽くすところにある。
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