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華やかに見えて、一寸先は闇に包まれている仕事だ。彼女自身もそのことをよくわかっているからこそ、こうして複雑な表情を浮かべている。
「ちがう、けど……、また晶さんに迷惑かけちゃうじゃん」
「ええ? 私の心配? そんなの気にしなくていいのに」
「気にするよ! 私は……こういう仕事だし」
「それは関係ないよ。愛子ちゃんのお仕事はたしかに皆に見られる仕事だけど、でも人を好きになることまで、申し訳ないなんて思わなくていいの。……そりゃ、相手の方がすごく危険な人なら止めさせてもらうけど」
タレントの生活や心を守るのもマネージャーの仕事だ。今はいっそうそう思う。
私の言葉で、彼女はますます眉を下げて、苦しみを堪えるように唇を噛んだ。
「……私、いつまで経っても演技下手とか、書かれてんだよ。このままで恋愛なんてしたら、たぶん、また書かれる」
知っていたのか、よりも、やっぱり見ていたのかと直感的に思った。
当然事務所には所属タレントの名誉を守るための部署があり、常日頃SNSや週刊誌の情報を確認している。そうでなくとも、マネージャーは担当するタレントの名前を適宜インターネットで確認しているだろう。私もそのうちの一人だ。
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