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 美しいものや輝かしいものは目の毒だ。光が強すぎて直視できない。そう思うのに、どうして彼の強烈な光は私を魅了して離さないのだろう。 『いるじゃん。目の前に』 『めのまえ……』 『晶からの連絡なら、大歓迎だけど』  ――眩しい、どうしようもなく眩しい。  強烈な光にあてられて目が潰れてしまいそうだ。そう思うのに、私の目は大切にこの記憶を刻んでいた。  私以外何一つ音を発さない部屋で立ち上がり、恐る恐るそれが入れられているチェストの目の前に向かう。引き出しに手を伸ばして開くと、私が探していたものはすぐに視界の真ん中に入り込んできた。 「あ、った」  仕事中、ほとんど使っていなかった個人携帯を掴んでソファに戻る。事務所の所属タレントである星くんの連絡先は、彼が死ぬまで私の個人携帯には登録されていなかった。マネージャーが公私を分ける必要があるのは当然のことだ。  特に、私と彼は異性で歳も同じ。彼の意向がなければ間違いなく私がマネジメントを担当することはなかったはずだ。 「……ほし、……いる」  ぼんやりと考え込みながら、携帯を操作する。その間、私の心臓は不自然なほど早い拍動を刻んでいた。ディスプレイは眩しくて、心臓は痛いくらいにうるさい。
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