星の光は掴めない

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　視線の先には『星』という名前の連絡先がある。指先は無意識に震えていた。

　私の星は死んだ。それじゃあ、私の目の前にいるあの人は、一体誰なのだろう。

　精神が緩やかに不調を消していくたび、この疑問は言葉にならず、喉元に張り付く。彼が微笑みかけるたび、優しく私の身体を抱きしめるたび、どうしても口に出せず捻りつぶしてきた。

　うまく考えることができない時間は途方もなく長かった。疑問に思っても、次の瞬間には心が暗闇に押しつぶされて、言葉を口にすることも、考え続けることもできなかった。

　結局私は差し伸べられる手に甘えて、ただ彼の胸にしがみついていただけだ。

　星悠翔は死んだ。

　その事実を受け入れるまでに、一年以上の時間が必要だった。彼は事故死して、もう二度と私に微笑んだりしないし、声をかけて、ふざけたり、悩みこんで相談をしてきたりすることもない。同じ世界にはいなくて、たとえばそう、星に還ったのだ。

　だから私の側で私を慰めたり、私を抱きしめたりしてくれるはずもない。そもそも星悠翔は私の恋人でも、夫でもない、同じ事務所で働く同僚だ。

「じゃあ、だれなの」

　ぽつりとつぶやいて、結局携帯をテーブルの上に置いた。