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「明日、お仕事は?」 「あるけど昼から。ひかりもそうなんだろ?」 「そう、だけど」  人を送り迎えしたり、事務的な作業をしたり、営業をしたりするだけの一日だ。セリフを覚える必要もなければ、体力仕事でもない。  大和のハードスケジュールとは比較対象にもならない。デートの誘いというのも、結局は彼には滅多に終日オフの日がないことで話が流れただけで――いや、さすがにこれは苦しい言い訳だ。  私が出張を終えてから、大和は積極的に家にいるようにしていた。ジムに行くにも、私が何時に帰ってくるのかを確認して、行くか行かないかを決めているようだった。  いつも細やかな気遣いを怠らない。たとえ一時間でも、私との時間を取ろうとしていたことに気づかないわけがない。それをあえて無視してここまで引き延ばしていた。  ただいまと言って無事に帰ってくる姿を見なければ、不安でたまらなくなる。だから、顔を合わせないという選択肢がない。それなのに、彼が帰ってきてしまったら、今度はどう彼から距離を取るべきかということばかりを考えている。  私はひどく矛盾していて、それに気づかれるのが恐ろしかった。
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