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 なぜため息を吐かれるのかわからない、などとは言わない。  このベランダで過去の自分が何をしでかして、どれほど彼の心に不安を与えたのか、忘れたわけではない。大和が起きるよりも先にこの場所を後にするつもりが、ぐっすり眠っていたはずの彼は予想よりも早くに起きだしてしまったらしい。 「……なんで起きてんの」 「目、覚めた……から?」  嘘だ。本当は眠ってすらいない。大和が眠ってからまだ三時間も経ってないのに、彼は隣で私が眠っていないことに気付いて起きだしてきたようだ。  彼に気づかれぬうちに朝食を作って、それでも彼がまだ起きなければベッドに戻って彼が起きるのを待つつもりだった。だが、それもまた大和に打ち明けるつもりのないことだ。 「……星、見てたのか」 「え? ああ、うん。綺麗だから」 「いっつも見てるもんな」 「え?」  いつもと言われるほど、私は大和の前で空を見上げていただろうか。思い出せずに首をかしげると、大和は私の疑問に答えることなく深いため息を吐いて私の頭を撫でた。  強く拘束していた腕の力が弱まって、自然に私と大和の間に距離ができる。まっすぐに顔を見上げると、大和は同じように私の瞳を見つめていた。
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