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珠夏も見かけたことがあるが、遠目に見ても美人だった。青みを帯びた黄金の髪に鬱金のような黄金の瞳をしていた。
彼女は現在、虎守の家に下宿している。大学が近いためにそうなったと聞いていた。
「麒麟のほうが格上だから繋がりがあると得だし、土生金、土は金を生む。そのほうがよかったわよねえ」
「この前も黎羅様と仲睦まじく歩いてらして」
珠夏は不安になった。
彼は結婚したくなかったのだろうか。本当は黎羅と結ばれたかったのだろうか。
女中の冷笑に耐えて食事を終えた珠夏は、ため息をついて自室に向かう。
ふと廊下から窓の外を見ると、耀斗と黎羅が並んで歩いているのが見えた。
二人は楽し気に語らいながら歩いている。
急に苦しくなった。締め付ける痛みに、手を胸に当てた。
嫉妬だ、と気が付いて愕然とした。
二度しか会ったことがない。三度目が結婚式で、夫婦だというのにキスすらしたことがない。式を挙げてからも寝室は別で、ろくに顔も会わせない。
なのに、もう恋をしていた。
だけど同時に、耀斗が怖くて仕方がなかった。
食べちゃいたい、と言う言葉が猫に襲われた恐怖と連結して、同じ屋根の下に彼がいると思うだけで心臓がどきどきして耐えられそうになかった。
だから、離婚を申し出た。
その結果の軟禁だ。
彼はどういうつもりなのだろう。
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