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翌日、ユリックは王太子ルネスランの私室を訪問した。
2人は日ごろから親しくしており、訪問を怪しむものは誰もいない。
「あれから進展は」
ルネスランがたずねる。
「洗濯係の件ですか?」
「そうだ」
「あの1名のほかは気づいていないようです」
その1名こそがリエーヌだった。
彼はリエーヌがルネスランの暴力を疑っていると知った時点で彼にもう報告をしていた。
「もちろん。口止めもしました。が、女は一部を除けば口が軽いものです」」
ユリックは氷の貴公子の名の通りに、冷たく無表情に言う。
ルネスランは水色の目を細めた。
「黙らせなくてはならない」
「私に策があります」
ユリックの目が暗く光った。
ルネスランは彼の計画を聞き、頷いた。
夜中の訪問から1週間が過ぎた。
リエーヌはそれからも不安な日々を過ごしていた。
気をつけて見ているが、あれ以来洗濯物に異常はなかった。
異常がないことが、さらに不安をかきたてた。
大丈夫なのだろうか。
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