新人洗濯係が覗いた秘め事 ~王太子の秘密を暴いた先にあるのは溺愛か死か~

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「金髪は威厳があって、瞳が湖のように美しくって」 「かっこよくって優しくって頭もよくて、完璧!」 「男爵令嬢が王太子様と結婚って、やっぱり身分が高い人同士でないと王太子とは結婚できないのね」 「違うわよ、男爵は貴族の中でも身分が低いのよ」 「それなのに結婚したんだからすごいのよ」 「お名前は確か、ジャスリーン様よね」 「すっごい溺愛されて、プロポーズされたんですって! 王太子様は王様に、結婚できなければ国を出て行く! ってタンカ切ったんですって。素敵!」  わいわいと話に花が咲く。 「はいはい、手が止まってるわよ」  アデリーンの注意に、はーい、と女たちはまた仕事に戻る。  が、またすぐに王太子の話を始める。  この前見かけたの。すっごいかっこよかった。  王太子妃様を見つめて、微笑んで。  理想の夫婦だわ。  それらを、リエーヌはうらやましい気持ちで聞いていた。  もし私が王子――は結婚してしまったから、貴族に見初められたら、そんな幸せなことはないだろうに。  うっとりと考える。  思い浮かべる貴族はもちろん若い美男子だ。金髪で背が高くてすらっとしていて。  身分なんか関係ない、なんて抱き寄せられたりして。  ただでさえ部屋が暑いのに、リエーヌの顔はさらに熱くなった。
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