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いつ渡せるのかわからない。
また王宮に行ける日があるのか。
いや、それまで待っていて大丈夫なのか。
早く、助けの手があることを知らせなくては。
王太子妃の洗濯物に忍ばせるのはどうだろう。
翌日、リエーヌは王太子妃の部屋にもっていく洗濯物を物色した。
ドレスはその形状から、めったに洗わない。つけ襟、付け袖はよく洗うが、それでは手紙は隠せない。シーツは王太子妃が直接触ることはない。
ハンカチなら。
リエーヌは小さくたたんだ手紙をハンカチに忍ばせ、洗濯物を戻した。
どきどきしながら、洗濯物が運ばれるのを待った。
それから、ハッときがつく。
ユリックに相談もなく独断で手紙を書いてしまった。
どうしよう。
急に不安が強くなる。
手紙はきちんと王太子妃に届くだろうか。
もし誰かほかの人が見てしまったら。
回収しようかと洗濯物を見に行った。
だがそれはもう運ばれたあとだった。
リエーヌは不安におしつぶされそうになりながらユリックを思った。
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