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「ブタのくせに人間の言葉しゃべってんじゃねえぞ」
ジャスリーナはさらに踏みつける。ルネスランがとろけるような顔をしている。
リエーヌはただただ呆然としていた。理解の範疇を越えていた。
「ユリック様、もういいでしょう」
息を切らしたジャスリーナが言い、ユリックが頷いた。
ルネスランが媚びるようにジャスリーナを見る。
「欲しがってんじゃねえ!」
ジャスリーナがムチをふり、ルネスランは喜びの声を上げた。
リエーヌは人気のない中庭に連れていかれた。
そこには小さな池があり、水面に美しい月がうつりこんでいた。
「ああ、ルネスラン様は今頃ジャスリーナ様に思う存分に攻め立てられているのだろうな……」
ユリックは王宮を見て陶然と呟く。
「いったい、何が……」
「わからないのか。あれは、そういう大人の世界だよ」
ユリックがニヤニヤと言う。
「君はプレイに巻き込まれたんだ」
「え?」
「わざと洗濯物に痕跡を残した。赤いのは血じゃなくてあのロウソクだろう」
確かに血にしては変だったし、何か塊のようなものがついていた。あれはロウだったのか。
「誰かに気付かれたらどうしよう。そのスリルもあの2人のエッセンスだったんだ」
ユリックは興奮しているようだった。やや息が荒い。
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