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「王太子はなぜ鍵をかけなかったと思う? 見られたらどうしようっていうスリルを味わっていたんだよ。今は見られた羞恥を喜びとして悶えているだろうね。そのことで王太子妃……いや、女王様に責められ、それすらも……。理想の女王様だって言ってたな……」
うっとりとユリックは語る。
「だって、でも、眠らせないって……」
「プレイに夢中で睡眠不足になったんだろう」
「食事をとらせないって……」
「ちょっと太ったからダイエットしてたんだって。本人がそう言っていた。おかげであのセクシーな衣装がピッタリ似合っていた」
「腕をさすっていたのは……」
「ムチを振るい過ぎて筋肉痛だったんじゃないかな」
リエーヌはさらに混乱した。
ユリックはすべて知っていたのだ。
知っていて、彼女をたきつけた。
何が目的なのか。
「王太子妃様が危ないって……」
ユリックは熱を帯びた目でリエーヌを見る。
「嘘だよ。本当に王太子妃様のピンチなら君なんて連れて来ない。兵士を連れて行くよ」
その通りだった。
リエーヌは自分の愚かさを呪った。
「君は王太子夫婦の秘密を知った。命をとられても仕方ない。しゃべればどうなるか、わかっているね」
リエーヌはがくがくと頷く。
初めは死刑だと言われた。次にはクビだと言われた。
あのおかしな状況での宣告だったが、クビは確実だろう。
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