新人洗濯係が覗いた秘め事 ~王太子の秘密を暴いた先にあるのは溺愛か死か~

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 シーツなどは植木にふわっと置いて乾かすこともある。そのためにこのあたりの低い植木は干しやすいようにカットされている。  この国は空気が乾燥しているから、半日も干せば乾いてしまう。  乾いたら取り込んでアイロン室でアイロンだ。  アイロン台に洗濯物を置いて、木炭を中に入れたアイロンの熱でしわを伸ばしていく。  この部屋もまた暑くなるから、汗が洗濯物につかないように注意が必要だった。  だけど、ピンと皺の伸びた洗濯物を見ると気持ちがよくて、リエーヌはその瞬間が大好きだった。    数日後、リエーヌはまた洗濯物に汚れを見つけて首をかしげた。 「アデリーンさん、これ……」  この前と同じく銀糸の刺繍のあるシーツに、赤い染みができていた。 「あらあら。王太子妃様、月のものかしらね」  アデリーンはひょいとつかんで手洗いに仕分けした。 「でも……」  リエーヌはいぶかしむ。それにしては違和感がある。何か小さな塊のようなものもついていた。  そんな彼女に気付いて、アデリーンは向き直る。 「いいかい、リエーヌ。私たちは洗濯だけしていればいいの。余計な詮索はするんじゃないよ。仕事をなくすよ」 「……はい」  リエーヌは疑問を飲み込んだ。  洗濯は重労働で、嫌がられる仕事だ。  だから身分の低い庶民の彼女がこうして王宮で働くことができるのだ。  まだ幼い弟妹のためにも、彼女が働いて家族に仕送りしなくてはならない。仕事を失うわけにはいかない。  リエーヌは黙って次の洗濯物を手に取った。
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