テンプレ世界の片隅に

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テンプレ世界の片隅に

 俺は、素人小説サイトの作家がファンタジーストーリー内で描写するような神殿の謁見の間で目覚めた。    目の前には、テンプレとしか言いようがない女神がいた。  俺の身体は勝手に動き、女神の前に方ひざをつく。 「勇者よ、よく目覚められました。あなたの力を、私に貸し与えてくださいませ」  ブルーグレイのストレートロングヘアー、陶磁器のように白い肌、均整のとれたスタイル、透けて見えそうで見えないドレス、ルネサンス時代の彫刻を想起する顔に金の瞳、まさに、転生モノのテンプレのような女神が、コレまた、テンプレのようなセリフを言う。 「俺はどうなったのですか? 確か、車に轢かれて病院に運び込まれたはず……」  俺は、これもテンプレのような質問で返す。 「あなたは現世で死にました。私は現世の神に頼み、あなたを私の世界へ転生させたのです」  俺は『しめた!』と思った。  彼女いない歴=年齢で40年過ごしたアニメヲタクでウェブ小説マニアの俺は、現世にいても何も面白いことがなかった。  俺のヲタ知識を使えば、異世界転生も楽勝なのではないか? 「かしこまりました女神様。俺の力の及ぶ限り、お力になりたく思います」  俺は、どんな下手くそな作家でも、恥ずかしくて使えないセリフで即答した。
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