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異世界の住人はアイドルみたいに美形
もしも、異世界の住人が人間ではなかったら?
たとえ人間だったとしても、目が3つあるとか口がお腹についているとか……
たまになら良いが、いつもそんな人種を相手にするなら、楽しいレベルあげも苦痛になるかもしれない。
「そうですわ、私の可愛い民たちの説明を忘れておりました」女神は嬉しそうに、急に早口で続ける。
「基本は人間です。それもあなたのいた現世の『アイドル』からモデリングしております。自分の造形物を自慢するのもお恥ずかしいのですが、現世のどこに出しても人の目を引き付けるくらいに、美形だと自負しております」
俺はゴクリと喉を鳴らした。
「あとはエルフと獣人が少々おります。獣人といっても、人間に動物の耳や尻尾を付けたもの、位の認識で結構です」
おお! なんとモフモフの尻尾を持った猫耳ムスメもいるのか!?
俺、魔王を倒すまで体力持つかな?
そこで新たな疑問が湧き上がった。
「あの、レベルあげの方法が性行為ということは、子どもができることもありますよね?」
「心配ございません、繁殖は魔法で行います。
レベル合計100以上のカップルで合意があれば、ふたりの特徴を混ぜ合わせた子どもを魔法力で生み出すことができます。性交後ふたりで願えば、繁殖の魔法が発動します。
合計レベル100ですと0歳児しか作れませんが、合計レベルが1万に達すれば、生み出す存在の年齢や関係性は思いのまま、一夜にして『頼れる年上の冒険者』の存在も生み出せます。
残念ながらレベルは1で生まれていますが、その者との性交によってレベルアップさせることも可能でございます」
なんとレベルがアップすれば、一夜にして『……お、お兄ちゃん…… ら、らめぇ……』という妹から、ツンデレ姉貴まで楽しめるようになるのか?
そんな背徳的な世界…… 女神よ、なんて世界をあんたは⁉
この世界で、ハーレム王に、俺はなる!
俺は、チャンネルが違う番組のセリフをパクッて決意した。
だが、何か盲点はないだろうか?
話がうますぎる……
俺は少年探偵がするように、曲げた人差し指をあごに当てた。
すると、それを察した女神が下を向いて
「ひとつだけ、あなたにお知らせしなければならないことがございます」と小さな声でささやいた。
ほーら見ろ。
やっぱり、ここまでうまい話には何か落とし穴があるじゃないか?
俺はガッカリすると同時に、自分の注意深さを心の中で誇った。
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