5人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
契約
異世界に転生するには、契約書のサインが必要だと女神がいう。現世の神に提出する転出届のようなものらしい。
女神は右手を上げて宙をつかむと、1枚の羊皮紙が現れた。
そこには、キチンと条件を確認し納得したかどうか、また、この契約書にサインをしたら現世には戻れず、死んだあとも魔王を倒すまで、女神の世界で転生しなければならない。との文言があったが、今さら俺に躊躇はなかった。
契約後、俺はすぐさま異世界へと転送された。
そこは、女神が転送前に教えてくれた『始まりの村』の入口。
周辺には俺よりも強いモンスターはおらず、この世界に慣れるには丁度いい、いわゆるチュートリアル的な場所だそうだ。
村の入口にはひとりの男が立っていた。
身長180cmくらい、皮のムチを思わせる引き締まった筋肉の割には穏やかで優しそうな茶色い瞳に、シュッとした鼻筋、男の俺が見ても視線を外せなくなる魅力がある。
俺は女神からもらったチート能力『鑑定眼』で調べる。
【村の自警団員 レベル8】
鎖帷子に皮の帽子、青銅の剣と皮の盾を持った男が俺に気付き、好意を持った笑顔で話しかけてきた。
「これは勇者さま、こんな田舎の村へようこそ。今日は、もう日も暮れます。ぜひともこの村の宿屋にお泊まりください。ご案内いたします」
爽やかなイケメン青年は、今は少年に見える俺を気遣ったのであろうか、わざわざ手を引っぱって宿屋に案内してくれた。
最初のコメントを投稿しよう!