道端の花

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 職場で昼休みにコンビニへ向かったら、その付近の道路脇に花束を置いている人がいた。  道路脇に花束…多分、あの場所で交通事故があり、誰か亡くなったのだろう。置いているのは身内の人かな。  単純にそう思ってすぐにその場を離れたけれど、後日、同じコンビニへ向かったら、道路に何台もパトカーが止まっていた。  どうやら交通事故があったようだが、その場所は、まさに先日、花束が置かれていた所だった。  この道は事故が多発する場所らしい。俺もコンビニに来る時は気をつけないと。  その時は、花束と事故を別のものとして考えていた。でもそれ以来俺は、そこそこの頻度で、花束が道端に置かれているのを見かけるようになったのだ。  ここでも死亡事故があったのか? 花束を見るたびそう思い、気になってネットでその道のことを調べるのだが、何一つ情報は得られない。  人が死んでいるとはいえ、言い方は悪いがありふれた交通事故。記事になる程のことではないのだろうか。  毎度首を傾げていたのだが、その内にあることに気がついた。  事故はむしろ、花束を見かけた後に起こっている。  もちろん、死亡事故が起こるような場所だ。その場で交通事故が多発してもおかしくはない。けれどそういう場合、付近に『死亡事故現場、注意』といった、警告の貼り紙などがされるのがたいていなのに、これまで花が置かれていた道にそういった物は見当たらなかった。  あの日見かけた、鼻を置いていた人。あの人に尋ねれば真相は明らかになると思うが、あれ以来、置かれた花は見かけても、それわ置く場面を目にしたことはない。  …今日もまた、道端にそっと花束が置かれているのを発見した。  俺の推理通りなら、今度の事故現場はここのようだ。  だから、花を手向けられる存在にならぬよう、俺は早々に道を変えた。 道端の花…完
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