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第4章 日常に帰ったら①
ゴールデンウィークが終わり、廉の日常もかえってきた。それでも、結衣ちゃんの家で見た「あの絵」。それは時折、廉の意識に上ってきて、廉を苦しめた。
「恋、なのか」
いつものごとく、教室で奏とお弁当を食べている時、言葉にしていた。
「恋？ なにが？ お前がその、桜澤結衣ちゃんに恋してる、てことか」
奏はその話題にはもう飽きているらしい。興味なさそうに、購買のカレーパンをむさぼっている。
「いや。あの子の家で見た絵のこと。奏に話してなかったかな。俺、ゴールデンウィークにちょっとだけ、あの子と出かけたんだ。それで、その次の日に『俺を描いた』らしい絵を見せられたんだけどさ」
廉はいつも通り、淡々とそんなことを言った。奏はカレーパンが喉につかえてしまったのか、咳き込んでる。
「奏。ごめん。俺、本当に言ってなかったっけ」
「初めて聞いたぞ。何もかも」
奏は若干、腹を立てている。廉が順繰りに、バレリーナの衣装を見に行った話、和風カフェの話、それから『メガネをかけるならスミレ色に』と結衣ちゃんのおばあちゃんに言われた話、などをしたところで、昼休み終了五分前のチャイムが鳴った。
「続きはいいぞ。大体わかった。放課後、その和風カフェ行こうぜ。そんで、お洒落な伊達メガネを下見する！」
奏は軽やかに言い捨てて、移動教室の支度をさっさと始めている。
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