8 Bar穴蔵マスターの独り言

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8 Bar穴蔵マスターの独り言

「行ってしまいましたねぇ。お二人とも」  Bar穴蔵のマスターは独りごちた。  グラスを拭く手を止めて、耳を澄ませる。  雨音は聞こえない。  だが、階段を降りてくる人ならぬ足音が聞こえた。 「雨も上がったようですね。あぁ、雨が上がったから次のお客様がいらっしゃるようだ。夜になるのを待つのかな。閉店時間ですが、今日は特別。開けておきましょう。今度のお客様も、還れる方だと良いのですが……」  マスターはそう言ってまた、静かにグラスを拭き始めた。 〈了〉
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