第3話

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 熟練夫婦のような関係かもしれないけど、慧くんとの過ごし方は本当に充実してて楽しい。ゼミ以外の講義が被ったら隣に座って、ときどきこっそり会話する時間すら楽しかった。何気ない日常に、雨上がりの匂い以外のことが加わっただけなのに、笑顔も絶えない。なんて素晴らしい出会いが出来たのだろう。もともと志望校じゃなかったけど、慧くんと出会えたことが一番の理由だったと思えるくらい鬱気味だった気持ちが塗り替えられた。  ただそれは、私だけではなく慧くん自身にもあったことはその年の夏に知った。
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