第2話

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 今も、遠巻きに女子とかおばさんたちが一度は止まっては見たりするくらいだ。引き立て役にならない私なんかは雨上がりに濡れた雑草程度でしかないだろう。とはいえ、天羽くんを無視するつもりはないが。 「お。雨降って来たな」  それぞれのランチが手元に来たところで、大きなガラス窓に水滴がいくつか付いた。  天羽くんの言葉通り、たしかに雨が降り始めた。今日は降水確率が六十%くらいだったので叩きつけてくる力はそこそこ強い。けれど、嫌な音じゃなかった。いつもは雨上がりの匂いしか気にしていなかったのに、水の流れまで気にしてしまうくらい今日のはきれいに見えたのだ。 「……予報だと昼過ぎに上がるらしいけど」 「ずっと話すのは疲れるだろ? なんか遊ぶ? 買い物する?」 「あんまりそういうことしないけど、天羽くんはなにかしたいことある?」 「俺? ひとりだとコーヒー飲みながら窓の外眺めてるけど。今日は夏芽がいるから合わせるよ」 「……じ」 「え?」 「私も。雨が上がるまでは同じことしてきた」 「へぇ」
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