ある家族の物語

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ボクたちはいろいろな名前で呼ばれる。コイヌ、ウサギ、ヤマネコ、クジラ。 昔はね、おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へ洗濯にいったんだ。 でも今は2人とも老人ホームにいる。そろそろ、お迎えがきそうだって、お父さんたちが話していた。 そんなお父さんはリモートワークで毎日在宅。運動不足になる! と嘆いている。 お母さんも家でボクたちの世話をしているけど、もう少ししたら外で働くよ。 お姉ちゃんはオジュケンとやらで毎日勉強、勉強! でもボクはいまだに、ベビーサークルから出られない。 お父さんが全然家事をしないって、お母さん、怒ってた。きっと、お母さんは外に出る。 そしたらお父さんも、お姉ちゃんも、ボクも続くんだ。 みんなで外に出て暴れるんだ! そうやってボクたちが飛び出すたびに、ニンゲンは騒ぐんだよね。次は誰だ? どこにいくんだ? って。 そして、ボクたち家族がいなくなると、みんな安心する。 台風一家(一過)ってね。 【完】
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