魔法使い

1/1
前へ
/4ページ
次へ

魔法使い

爽やかな風を感じて彩乃は目覚める。 「えっ? ここはどこ?」 思わず口から溢れ出た。 当たり前だ。さっきまで家の玄関にいたのだ。 こんな青空が広がる野原にはいた覚えがない。 「ここは夢の中だよ」 三角の帽子を被った小さな白い 小人が可愛らしい声で言う。 そうか、夢ならばこの不思議な現象にも納得がいく。 「そっか。夢なのね。あなたは誰なの?」 「僕は魔法使い!…名前は忘れちゃった!」 魔法使い?こんな15センチくらいの白い小人が? 「小人の間違いじゃないの?」 「失礼な!僕はれっきとした魔法使いだよ! 魔法使いになるための試験も 合格してるんだからね!」 頬を膨らませている様子はリスみたいで可愛らしい。 彩乃の頰が緩む。 「そうだ、今日は彩乃ちゃんに 挑戦してもらいたいことがあるんだ!」 魔法使いは溌剌とした声を出し、 小さな手で向こう側を指差した。 彩乃もそちらを見ると虹がかかっていた。 しかも地上と空と、繋がっている。 今見えているのは虹のふもとだった。 「この虹の向こう側のふもとに 金のカップがあるんだ。 彩乃ちゃん取ってきてくれない?」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加