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いつも泣いていたあなたを、できるなら抱きしめてあげたいのに、できないことがなんともどかしかったか。
私の姿を見ても、出て行け、お前なんか大嫌いだと、錯乱した顔で怒鳴って追い出すから。
周りにいる者がすべて、暴言を吐き、苦痛を与え、あれこれと注文をつけては疲弊させて、倒れた者から追い出そうとする、○○くん……あなたの顔に見えてしまうから。
娘を支えて助けてくれた同僚の皆さんも、ひとりまたひとりと、追い出したんでしょう?
じゅうぶん味わってください、あの子が……いいえ、皆さんが受けた苦しみも、痛みも、どうしようもない袋小路も、真っ暗な、いいえ墨をぶちまけたような真っ黒な闇の中を。
まあ、顔が真っ青。
娘もよくそんな顔色で早退して、寝込んでいたんだったわ。
そう……スカーフで、首をくくろうとした、あの日もね……。
ねえ、お母さんは約束を守ったわ。
追い返してほしいって、言い訳しか並べないから聞かなくていいって、虫の息で交わした約束を忘れるもんですか。
あとは思う存分、好きなだけおやりなさい。
いいのよ、あんな子。
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