1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
外に出ることも、頭のなかで聞こえるあなたの声も酷く怖がってしまって……。
薬の量も増えて、ぼんやりとどこかを見ているばかり。
ときどき我にかえったように、腕をカッターで切りつけて、無数にできた傷を、かさぶたを、バリバリと爪でひっかき、かきこわし、血をにじませて、しくしく泣いているのよ。
これでもまだ、娘にも原因があると、そう言い張るつもり?
お仕事での立場も失って、お給料もめっきり減って、肩身の狭い思いをさせられてもなお、変えないつもり?
ほうらだんだんと、肩が重苦しく、背中が痛くなってきたでしょう?
まだ生きている者が魂だけを動かして、許さぬ許さぬと強い念を向けているほうが、この世を去ったものよりもはるかに厄介よ
引き離すことも難しいし、酷い苦痛も味わうことになるわ。
残念だけど、息子さんには可哀想だけど、私のところで祓うつもりはありません。
どうか他をあたってちょうだい、どうせ門前払いで無駄でしょうけれど。
俯く暇があったら、ちゃんと向き合って。
ああ、嬉しい。
やっと笑うことができたのね。
最初のコメントを投稿しよう!