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霊感診断
「ねえ、霊感診断って知ってる? 自分に霊感があるかどうか試す、心理テストみたいなやつ」
会話が途切れた時、そんなことを真由が茜に尋ねてきた。
蒸し暑い夏の夜、真由の部屋でおしゃべりしていた時のこと。
「さあ? 知らない。初めて聞いた」
茜は答えて、缶チューハイを飲み干した。
「目を閉じて、自分が実家の前に立っている姿を想像するの。それから玄関を開けて中に入り、家じゅうの窓を開けていく。全部開けたら、今度は閉めていく」
「え、ちょっと待って。面白そう、やってみる」
茜は目を閉じ、故郷の実家を思い浮かべる。
家は、もう何年も前に両親が相次いで亡くなったため誰も住んでいない。廃屋同然である。
茜が空想の世界に入りやすいよう、真由は小声でゆっくり続きを説明した。
「家の中で誰かに会ったり、すれ違ったりしたら、霊感があるんだって。自分以外の誰かがいたらいいの。なんなら動物でもOK。……どう、誰かいる?」
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