3、悪霊退治

2/6

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
 王宮の文献で研究したところによると、霊を退治するの方法は大きく分けて二つ。  一つは、魔法をぶつけ、問答無用で消滅させる。  もう一つは、心残りをなくしてあげて、しかるべき世界へと導いてあげる。  けれど、二つ目の方法は霊に話を聞く余地が残っていないと無理みたい。いわゆる『悪霊』と呼ばれる状態になってしまっていると、もう『魂の浄化』をしてあげるのは難しいとか。そうなってしまえば、消滅させる以外に方法はないんだって。  どのみち魔力のカケラもない私にはどっちも無理だけど、なるべく穏便に解決出来たらいいな。  弱い霊であれば、護符を貼ったりアミュレットを身にまとっただけでも、そこから出ていくこともあるらしい。これでどうにかならないかな。お願いします、と腕につけたアミュレットを握りしめる。  噂が噂を呼んだだけで、案外実際の霊は大したことなかった――なんて顛末だったらいいな。そんなに上手くはいかないかなぁ……。 「幽霊さん、いらっしゃいますか……?」 「お困りごとがあるなら、私が話をお聞きしますよ〜……」 「魔力がないので何も出来ませんが、話を聞くだけなら出来ますので。本当に聞くだけですが!」  一人でぶつぶつ言いながら、廊下を歩く。  いきなり出てこられても困るけど、挨拶があった方が好印象かもしれないし。やっぱり無言だったら、イメージ悪いものね。  厨房、メイドさんたちが休む部屋、客室。一つ一つ部屋のドアを開け、声をかけて回る。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加