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王宮の文献で研究したところによると、霊を退治するの方法は大きく分けて二つ。
一つは、魔法をぶつけ、問答無用で消滅させる。
もう一つは、心残りをなくしてあげて、しかるべき世界へと導いてあげる。
けれど、二つ目の方法は霊に話を聞く余地が残っていないと無理みたい。いわゆる『悪霊』と呼ばれる状態になってしまっていると、もう『魂の浄化』をしてあげるのは難しいとか。そうなってしまえば、消滅させる以外に方法はないんだって。
どのみち魔力のカケラもない私にはどっちも無理だけど、なるべく穏便に解決出来たらいいな。
弱い霊であれば、護符を貼ったりアミュレットを身にまとっただけでも、そこから出ていくこともあるらしい。これでどうにかならないかな。お願いします、と腕につけたアミュレットを握りしめる。
噂が噂を呼んだだけで、案外実際の霊は大したことなかった――なんて顛末だったらいいな。そんなに上手くはいかないかなぁ……。
「幽霊さん、いらっしゃいますか……?」
「お困りごとがあるなら、私が話をお聞きしますよ〜……」
「魔力がないので何も出来ませんが、話を聞くだけなら出来ますので。本当に聞くだけですが!」
一人でぶつぶつ言いながら、廊下を歩く。
いきなり出てこられても困るけど、挨拶があった方が好印象かもしれないし。やっぱり無言だったら、イメージ悪いものね。
厨房、メイドさんたちが休む部屋、客室。一つ一つ部屋のドアを開け、声をかけて回る。
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