4人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「名前は?」
「フェリシアだよ」
男の子から聞かれて、名前を答える。
「あなたの名前は?」
「オーウェン」
「オーウェンはどこから来たの?」
オーウェンは一瞬視線をさまよわせてから、洞窟の入り口の方を指差す。
「遠くから」
「そうなんだ。帰り方、分かる?」
転移魔法でここまで来たって言ってたから、帰りも同じ方法で帰れるのかな。と思ったんだけど、オーウェンはフルフルと首を横に振った。
「魔法はしばらく使えないから、適当に歩いて帰る」
魔法のことはよく分からないけど、いつでも好きな時に使えるわけじゃないんだ。
「とりあえず一緒に村まで戻ろうか。お父さんが町まで連れて行ってくれるかも」
「一人で大丈夫だから」
「行こっ」
一人でどこかに行こうとしているオーウェンの手を握って、行こうよと引っ張る。オーウェンは迷惑そうに眉を寄せたけど、私の手を振り解こうとはしなかった。
おせっかいだったかな。でも、なんだか放っておけなかったんだもの。適当に歩いていってちゃんとお家に戻れるのかも心配だし、それに何よりオーウェンが寂しそうに見えたから。
オーウェンと手を繋いで村に戻ったら、銀色の鎧を着た人たちがたくさんいた。一、二……、たぶん十人以上はいそう。
誰? 騎士? どうしてこんなところに?
村の人たちに話しかけてるみたいだけど、何かあったのかな?
「どうしたんだろう」
「思ったより早かったな」
オーウェンはため息混じりにつぶやき、パッと私の手を離した。それから、鎧を着た人たちのところに歩いていく。
「オーウェン?」
オーウェンまでどうしちゃったの? 状況がよく分からず、オーウェンの後を追う。
最初のコメントを投稿しよう!