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しばらくして、騎士?の人たちの視線が一斉にオーウェンに集まった。
「オーウェン様!」
「王子殿下、よくご無事でいらっしゃいました」
鎧をつけた人たちがオーウェンに駆け寄り、彼を取り囲む。
え? え? 王子……殿下……?
うそ……。王子様みたいな子だとは思ったけど、本当に王子様だったの?
私、とんでもなく無礼な態度を取っちゃったかも……。
どうしよう。このあと、処刑されちゃうのかな。
一人でアワアワしている私のことなんて誰も気にしていないみたいで、他の人たちはオーウェンに質問を浴びせていた。
「三日も行方知れずとなり、陛下が心配なさっていました」
「別に僕がいなくなっても、誰も困らないでしょ」
「何をおっしゃるのですか」
騎士の人がとんでもないと言うけれど、オーウェン――さまはわずらわしそうに息をつく。家族が三日もいなくなったら私はすごく心配なのに、王族の人たちはそうじゃないのかな。それとも、オーウェンさまがそう思ってるだけなのかな。
「これまでどうされていたのですか?」
「気がついたら、洞窟にいたんだ」
「え……?」
転移魔法で来たんじゃないの?
不思議に思ってオーウェンさまに視線を向ける。そうしたら、オーウェンさまが目配せをした。黙ってろってことなのかな。
「そちらの方は?」
今まで私の存在を全く気にしていなかったらしい騎士の人の目が、初めて私を見る。
「この子は困っていた僕を助けてくれたんだ」
オーウェンさまは表情を変えず、さらりと言ってのける。
「おお、そうだったのですね!」
「王子殿下を救って頂き、ありがとうございます」
ただ村まで一緒に来ただけなのに、騎士の人たちから盛大に感謝されてしまう。救ったなんて、たいそうなことしてないよ。
オロオロしているうちに、騎士の人たちはどんどん盛り上がっていく。
「三日三晩各地を捜索しても見つからなかった王子殿下が一人の女の子に助けられるとは」
「殿下が洞窟に転移したのは、悪い黒魔術師の仕業じゃないか」
「だとしたら、殿下を救い出したこの子は白魔術の才能があるに違いない」
どうしてそうなるの?
私は、白魔術も黒魔術も一つも使えないのに。
「フェリシアを王宮に連れて行ったら?」
抑揚のない声でそう言ったのは、オーウェンさまだった。とっさにオーウェンさまを見る。
「フェリシアは良い白魔術師になると思う」
オーウェンさまは、表情ひとつ変えない。
本当にそう思ってるのかな。私のどの辺りに才能を感じてくれたんだろう。
「王子殿下の推薦も頂いたことだし、王宮に来ないか?」
「えっ、と……」
騎士に質問され、私は口ごもる。
王宮なんて、夢のまた夢。王子様お姫様は、私にとって物語の中だけに存在する人たち。
それなのに、いきなり王宮に来ないかって言われても困るよ。
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