黒の玄関前

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「あのさ麗奈、ここじゃないんじゃない……? どど、どう見てもお893さんの事務し……」 そういえば、ドラマでお893さんがホテルを経営する話があったような気がしたけれど、まさかここが……。一度そう思ったら止める事の出来ない私の警戒心によって、自然と足がホテルから遠のこうとするのを、 「またまたぁ。 ホテルって書いてあるしナビだってここを指してるじゃ~ん? だったらGoGo!」 「あっあっ、ちょっと待って!」 麗奈にガッチリと捕まえられた。彼女は私と違って鈍感力が強く物怖じしないタイプで腕力も強い。強引に手を引かれて、あれよあれよと蟻地獄のように入口へと誘われて行く。 すると、私達の接近に気付いたスーツ姿の男性が身振り手振りで仲間達に何らかの合図を出した。 それによって、建物の周りに散らばっていた黒ずくめの男女が入口の両脇をガードするかのように集結した。
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