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 ユリアナは恐る恐る門を開けてみた。  魔王を倒す前は封印されており、その封印を解かなければ開けることができなかった門である。  今、思い返せば、その封印を解くために仲間たちと悪銭苦闘したものだ。  それなのに、今回は容易に開いた。  一歩、王城内に足を踏み入れる。 「お邪魔します」  暗くて不気味なところは前と変わらない。でも、モンスターと呼ばれる生き物がいる気配がしないのが不思議だった。 「すみませーん。どなたかいらっしゃいませんかぁ?」  ユリアナは声を張り上げ、語尾を伸ばして尋ねた。 (もしかして、クリスがみんなを倒しちゃったから、誰もいない?)  そんな不安に襲われながらも、腹の底から声を張り上げる。 「すみませぇぇええええん!」 「うるさいニャ」 「うわ」  右手を頭の上にあげて、左手はお腹の前に。さらに足は左足を曲げて、右足一本で立つ。前世の記憶が働いたのか、ユリアナはおもわず変なポーズをしてしまった。 「フライムート様が休んでいるんだから、静かにしてほしいニャ」  語尾にニャがついている声が聞こえるものの、その姿は見えない。誰がしゃべっているのだろう。
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