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雨が上がった。私は出来る限り顔を上にあげ雲の切れ目から微かに見ることの出来る陽を確認している。私の顔を水面が揺らぐように動く。私は目を開けているが時々水面が邪魔をする。呼吸は鼻でするのが精一杯。口を開ければ汚れた水が流れ込んで来る。これ以上、雨が降らずに助かった。助かったのか? こんな状態で……。誰かが近づいている。声がする。くぐもった声だ。なぜなら耳はすでに浸かっているからだ。水面下に浸かっているからだ。
見上げているとここは木々に囲まれている。太陽の陽射しで生い茂った葉っぱが雨に濡れた葉っぱをキラキラ照らす。
──あぁ、きれい……キラキラ輝いてる──
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