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「星那」
「おはよ、愛來」
「おはよ」
助手席のドアを開けて、車に乗り込んだあたしの頭を撫でて「会ってくれてよかった」って心底ホッとしたような顔をするから胸が苦しくなる。
「昨日あのあと寝れないからってコンビニ行ったら智史に会ったの。俺」
「……そうなんだ」
「あいつめっちゃよってて、何故かエントランスで酒飲みだすし。愛來と簡単に付き合ってんじゃねぇよとか言われるしさー。分かっちゃったわけよ。あ、智史の元カノが愛來だって」
「……うわぁ」
酔っ払ってる智史くんを想像して苦笑いをしてしまう。
「そこからマジで俺、無神経な話してんじゃんって後悔の嵐ね」
「……別に星那は悪くないんだよ、知らないんだもんしかたないよ」
「知らなかったからって大好きな彼女を傷つけていいってことはない。正直に答えて欲しいんだけど、愛來はトラウマになってんだろ?智史との別れ」
「……っ、そうだね。そのせいで星那と出会うまで恋愛には前向きになれなかったくらいには」
あたしの事をいいと言ってくれる人もいたけど、どんなにいい人だっていつかは裏切るかもしれないと考えてしまうようになってしまった。
そんなあたしが誰かを好きになれるわけもなく、恋愛には消極的なままここまできてしまった。
だから、今こうして星那の隣にいる自分にビックリしてるくらいだ。
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