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「お待たせ」
「あ、お疲れ様です!」
「えっ、お前如月さんのことまってたの!?」
あたしと青砥くんの言葉はほぼ同時だった。
「俺が待っててもらったの」
「お前、どんな手使ったんだよ。如月さん女子社員とマジで話さねぇって噂だぞ」
びっくりした顔をした青砥くんがあたしに耳打ちしてくる。
「別に何もしてないって」
「ふーん。まぁいいや。じゃあ先バス行ってマース」
青砥くんは納得のしていないような顔だったけど、そのままバスへと向かう。
「澤上さん、この後あいてる?」
「え?」
「俺、寮に帰って着替えてからになるけど。ご飯行かない?」
「え!?あたしでいいんですか!?」
「どゆこと?今日の感想とか聞きたいし。無理?」
「大丈夫です……」
目の前にまだ恋とは言えないけど気になっている人がいて、その人に誘われて断れる人はいるのだろうか。いや、断るなんてそんなの無理じゃない!?
しかし如月さんは女の人が苦手のようだけどあたしには気さくに話してくれることが不思議でならなかった。
自分に好意をむき出しにしてくる女の人が苦手だと君塚さんは言ってたけど、あたしが少しでも気になってることが知られたら冷たくされちゃうのかな。
もしもそうだとしたら、この気持ちは絶対に悟られたくない。せっかくこうして如月さんが話してくれるのにそれがなくなってしまうのはやっぱり嫌だ。
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