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きっとその子も友人だけの飲み会ならグビっと飲み干してるだろう。
そういう場面によって態度を変えることができないだけで本当ならあたしだってこんな勢いで飲む予定ではなかったのだ。
「如月さん、どうしてあたしとは話してくれるんですか?」
「え?」
「女子社員とあまり話さないって噂で聞きました」
「あー……なんでだろうね。でも俺だって全く話さないわけじゃないよ。柚月とも話してるじゃん?」
ふうっと一息ついて「柚月とも話すようになったのは結構あとだけどね。澤上さんはなんだろうね?なんとなく話しかけたくなった」
「自分に好意を向けてくる女性が苦手とも聞いたんですけど……」
「そうだね。なんとなくわかるんだよ、初対面から」
難しい顔をしながら早く如月さん。
顔に滲み出てるくらい自分のことを好きな女性に嫌悪感があることがわかる。
ということはあたしは相当ポーカーフェイスってことなのだろうか。
たしかに昔から表情も分かりにくいし、何考えてるか分からないってよく言われてたっけ。
「そういえば今日の試合なんか感想ないの?」
キラキラ目をした如月さんは会社でみるスマートな如月さんではなくただの野球好きな少年のようで可愛かった。
「如月さんのグローブって年季入ってません?」
「そこ?感想そこ?」
彼のツボを刺激したのかケラケラと笑う。
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