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「ごめん、知り合いのとこ行かなくちゃいけなくなっちゃって」 「いえいえ、大丈夫ですよ。あたしも酔っちゃったし」 スマホに来たメッセージをみた如月さんは一瞬表情を歪め気がしたけど、すぐにいつもの表情に戻っていた。 「本当は送ってあげたいけど、送れないからタクシー使ってね。呼ぶから」 「えっ、大丈夫ですよ。そんなに家からから離れてるわけじゃないし」 「ちょっとでも危ないでしょ。女の子なんだから。あっ、俺見ないからここに家の住所入力してね」 タクシー配車アプリの入力画面を開いてあたしの前に置く。 「別に見られても問題は無いですけど……」 「いやいや、俺がストーカーなったらどうすんの」 そんなふうに言いながら笑うけどそんなつもりは微塵もないってわかる笑顔だ。 正直ここまで気を使ってくれる人を初めて見たかもしれない。 多分、自分がそういう目線でみられるのを嫌っているからこそ他の人にもそうする姿勢なんだとは思う。 ただ、如月さんとってあたしは家の場所をしりたいとかそういう下心はまったくないことが、少し残念な気がしてしまうからあたしは馬鹿だ。 実際にそういうことをしてくる人には嫌だなと思っちゃうくせに。 やっぱり如月さんにこの気持ちを見せてはならないと再度心に誓うしかなかった。
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